案内
社研卒業生の現在(いま)
三浦 まり さん
現在、上智大学法学部でご活躍の三浦まりさんに、社研在籍当時や最近のご様子についてお話を伺いました。
プロフィール
三浦 まり(みうら まり)
上智大学法学部(教授)
専門分野:政治学
社研在職期間:1999年4月-2001年3月
研究機関研究員
私が社研に最初にお世話になったのは「外国人研究員」としてでした。カリフォルニア大学バークレー校の大学院生時代に日本でのフィールド・ワークのために帰国し、外国人研究員として所属し、共同研究室を使わせていただきました。日本を研究対象としている十数人の外国人大学院生が入れ替わり所属していて、知的なコミュニティを形成していました。
名刺にも「外国人研究員」という一応正式な呼称を刷り込みましたので、会う人から何だか変な顔をされたのが懐かしいです。実際、ある意味「外国人」気分で漂っていたように思います。
その後、当時新しく設けられた「研究機関研究員」としてさらに3年お世話になりました。こちらは英語のメーリング・リストSSJ Forumのモデレータの仕事や英文冊子Social Science Japanの編集の補佐などが主たる職務で、6階に個室の研究室を頂戴し快適な研究環境を整えて頂きました。
社研滞在中に博士論文を書き終え、2003年に上智大学法学部に准教授として赴任しましたが、博士論文を完成できたのは社研の恵まれた研究環境のお陰です。樋渡展洋先生を中心とした日本政治に関するプロジェクトに関わらせていただき、また中村圭介先生からは連合総研のプロジェクトにお誘いいただき共同研究を行いました。これらのプロジェクトへの参加を通じてデータ収集も進み、また多くの示唆を得ることができました。当時は労働政治を研究対象としていたため、所長の仁田道夫先生にも折に触れて相談に乗っていただきました。
私が社研を去るのと入れ違いで、バークレー時代にお世話になったGregory Noble先生が着任され、社研は英語圏での日本政治研究の研究拠点として益々重要な役割を果たしているように思います。
私自身は博士論文をもとに、単著Welfare Through Work: Conservative Ideas, Partisan Dynamics and Social Protection in Japanを漸く2012年に刊行するのですが、その過程で、比較福祉国家論、ジェンダー研究の成果を取り入れ、研究対象も雇用政策から、福祉政策、家族政策まで幅広くカバーするようになりました。最近では大沢真理先生によくお世話になっています。また2014年からはスティール若希さんと「政治代表におけるジェンダーと多様性研究会」を始めたため,再び社研を訪れる機会が出てきました.社研とはいろいろとご縁があると感じています。
現在、上智大学の大学院では主に留学生を対象に英語で日本政治を教えていますが、日本に来る院生達の関心の移り変わりを肌で感じるところです。政治経済への関心は薄れ、東アジアの安全保障の文脈で日本の国内政治を注目する傾向が強まっているように思います。私自身、ジェンダーと政治により深くコミットして研究を進めていて、女性の政治参画や日本の民主主義が劣化していく様をジェンダーの視点から分析しています。戦後70年経ち、社研が一周回ってかつての研究テーマに取り組まざるを得ない時代にならないことを願っています。
ジェンダー研究を通じてこれからも社研とのご縁は深まりそうですね。今日はありがとうございました。
(2015年3月31日掲載)
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このコラムは短期在外研究としてニュージーランドのオークランド大学滞在中に執筆しています。2月なのに青い空、蝉の鳴き声!東京での激務から少しだけ解放され、リフレッシュしたいと思います。
写真:オークランド市内のビーチ(息子が友情出演)